新『 Trace of fog』阿部祐己
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新『 Trace of fog』阿部祐己

¥4,860 税込

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写真:阿部祐己 出版社:roshin books/2018 80ページ/ 228mm x 254mm x 14mm/ハードカバー 現在小店で写真展を開催中の阿部祐己さん。同名の写真集『Trace of fog』。 “霧ヶ峰”は名前の由来通り、しばしば濃い霧が立ち込める山だ。 霧に覆われると境目が消え、どこまでも先に続いているような錯覚を覚えた。 かつて、山には巨大なスキー場が存在していた。 2つのジャンプ台を抱え、冬季オリンピックの候補地にもなったという。 さらに遡ると、ここは山一面が狩り場だった。 800年前に武士が腕を競った狩猟祭は鎌倉幕府が主催した大規模なもので、草原に残る社跡で行われる神事が、その名残を現在まで伝えている。 一方で、山には本来の役目を終えた建築群がひとつ、ふたつと増えている。放置された建造物は、現代の活動を後世に伝える新たな遺跡のようにも思えた。 Traceとは登山の用語で使われる、先行する者が残す踏み跡のこと。 先人達が通った道は、姿を消すもの、形を変えて残るもの、様々だ。それらが時代ごとの地層となって重なり、その表面を霧が覆う。 霧は一瞬だ。出ては消えて、すべてを覆うように見えてもどこかへと消える。 人の活動も同じだろうか。古の史跡も現代の建物跡も、山の表層に作られた一過性の存在に過ぎない。 山の時間軸を考えれば、人の痕跡は霧のような一瞬の存在とは考えられないだろうか。 霧の先には、はじまりはなく、終わりもない。 あとに残る、あるいは埋れていく霧のあとを探して、私は道を辿っている。